帯状疱疹ワクチンが定期接種に|おおば内科クリニック|京都市下京区の内科・血液内科

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帯状疱疹ワクチンが定期接種に

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帯状疱疹とは

先日、「厚生労働省が、来年度(2025年度)から、65歳になった高齢者などを対象に帯状疱疹(たいじょうほうしん)ワクチンの「定期接種」を始める方針を決めた」というニュースを目にしました。帯状疱疹とは、子どものときに感染した水ぼうそうのウイルスが原因で起こる皮膚の病気です。実は、水ぼうそうが治ったあともウイルス自体は体の中にひっそりと隠れています。通常、免疫力でウイルスが暴れないように抑えているのですが、加齢、過労、ストレスなどで免疫力が低下すると再び暴れだし帯状疱疹を発症していまします。帯状疱疹は、通常、体の左右どちらかの神経に沿ってピリピリと刺すような痛みから始まり、続いて赤い斑点や水ぶくれが帯状に生じるのが特徴です。

帯状疱疹と合併症

私が、血液内科の専門外来をしていたころ、血液疾患で闘病中に帯状疱疹となり後遺症に悩む患者さんが複数おられました。血液疾患、特に、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫といった血液癌においては、病気そのものに加え抗がん剤治療により免疫力が低下してしまい、帯状疱疹を発症しやすいのです。後遺症の多くは、帯状疱疹が治ったあとも、痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN)で、もちろん、程度は患者さんによって様々ですが、皮膚に服がすれただけで激痛が走るような方もいらっしゃいます。PHN以外にも、帯状疱疹発症初期に鼻の周囲に皮膚症状がみられた場合、目に、角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎などの合併症がみられることがあり、場合によっては視力低下や失明することもあります。また、顔面神経麻痺と耳の帯状疱疹を特徴とする「ラムゼイ・ハント症候群」と呼ばれる合併症では、めまいや耳鳴り、難聴などを生じることもあります。もちろん、帯状疱疹を発症される方は、血液疾患で治療中の方だけではありません。帯状疱疹は「80歳までに3人に1人が発症する」、こうした研究データもあり、意外に身近に潜んでいる病気なのです。

帯状疱疹ワクチンの種類と特徴

あとあとまで痛みなどの後遺症が残るかもしれない帯状疱疹、やはり、予防が重要なのは言うまでもありません。その予防に重要なのが、ワクチン接種です。帯状疱疹ワクチン自体は実は以前から任意接種として使用可能でした。「生ワクチン」と「不活化ワクチン」、2種類のワクチンがあります。「生ワクチン」の特徴は、1回接種でOK、費用は10000円弱と「不活化ワクチン」と比較して割安という点です。一方、「不活化ワクチン」は2回接種が必要、費用はおおむね1回あたり20000-25000円程度、それを2回打つので40000-50000円ほどします(医療機関により費用は異なる)。「不活化ワクチン」は「生ワクチン」と比較し接種費用が割高ですが、「生ワクチン」と比較して予防効果が高く、効果の持続時間も長いとされています。

2025年度より帯状疱疹ワクチンが定期接種に

冒頭にもあるように、厚生労働省は、2025年度から65歳の高齢者を対象に帯状疱疹ワクチンを定期接種することに決めました。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンのように、接種費用が補助されます。すでに65歳を超えている人については、来年度からの5年間に接種できる機会を設ける経過措置が導入されるようです。具体的に自己負担額がいくらになるかは、自治体によって異なり、もう少し先にならないと分かりません。帯状疱疹そのものは命にかかわることは少ない病気ですが、発症すると合併症などにより生活の質が長期にわたり低下するリスクがあります。また、定期接種の詳細が明らかになってくれば、本コラムで取り上げたいと思っています。