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「立ちくらみ」、「疲れやすい」といった症状で受診され、結果「鉄欠乏性貧血」と診断される女性は少なくありません。特に月経のある年代の女性は、慢性的に鉄分が不足しやすい状態にあります。このコラムでは、鉄欠乏性貧血の方に向けて、鉄分を多く含む食材と効率よく鉄を吸収するための工夫を、わかりやすく解説します。ぜひ、最後までご覧ください。
鉄分には2種類ある ― 「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」
鉄分は大きく分けて、次の2種類に分けられます。
- ヘム鉄:肉・魚・貝・レバーなど動物性食品に多く含まれます。非ヘム鉄より吸収率が高いのが特徴です。
- 非ヘム鉄:野菜・豆類・穀物など植物性食品に含まれます。吸収率は低めですが、工夫次第で効率よく利用できます。
吸収率は体の鉄の状態や食事の組み合わせで変動しますが、一般的にはヘム鉄は非ヘム鉄より吸収されやすいとされています。鉄欠乏性貧血の改善には、このヘム鉄を中心に、非ヘム鉄も組み合わせて摂ることが大切です。
鉄分を多く含む食材一覧
動物性食品(ヘム鉄が豊富)
- レバー:種類によって鉄量が異なります。豚レバーは約13mg、鶏レバーは約9mg、牛レバーは約4mg(いずれも100gあたり)を含みます。
- 赤身肉(牛もも肉、豚ヒレ肉など):ヘム鉄を多く含み、吸収率が良いのが特徴です。
- かつお・まぐろ(赤身魚):魚の中でも鉄が豊富で、刺身や調理で取り入れやすい食品です。
- あさり・しじみなどの貝類:鉄含有量が多く、味噌汁などで手軽に取り入れられます。
植物性食品(非ヘム鉄が豊富)
- 大豆製品(豆腐、納豆、高野豆腐など):鉄分とたんぱく質を同時に摂れる優秀な食材です。
- 小松菜・ほうれん草:野菜の中でも鉄を多く含みます。ビタミンCと合わせると吸収率がアップします。
- ひじき・切り干し大根:乾物は重量あたりの鉄濃度が高いのが特徴です。乾燥ひじきを調理する際は、無機ヒ素を減らすため、「水戻し」や「ゆでこぼし」などを行いましょう。
- ごま・ナッツ類:日常の料理やおやつに加えることで、少しずつ鉄を補えます。
鉄分を効率よく吸収するコツ
せっかく摂った鉄分がしっかり体に吸収されるように以下のような工夫も取り入れましょう。
- ビタミンCと一緒に摂る
非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が高まります。
例:ほうれん草のおひたし+レモン汁
- たんぱく質と一緒に摂る
肉や魚に含まれる動物性たんぱく質は、鉄の吸収を助けます。
例:「牛肉+野菜炒め」
- 吸収を妨げる飲み物や成分を避ける
コーヒーや紅茶に含まれるタンニン、緑茶のカテキンは鉄の吸収を抑えます。特に非ヘム鉄の吸収に影響するため、食事と1時間以上ずらすのがおすすめです。
鉄欠乏性貧血は食事のみで治療できる?
貧血の程度にもよりますが、多くの場合は、いったん、貧血を発症してしまうと、食事からの鉄分摂取のみで貧血を改善させることは難しい印象があります。貧血にならないよう予防する(治療終了後の再燃予防を含む)観点から、取り入れていただくことが現実的です。
まとめ
鉄欠乏性貧血の改善には、吸収の良いヘム鉄(レバー・赤身肉・魚・貝類)を中心に、非ヘム鉄(野菜・豆類・乾物)を組み合わせて摂ることが重要です。ビタミンCや動物性たんぱく質を一緒に摂ることで吸収率が高まります。コーヒーや紅茶などの吸収を阻害する要因はタイミングなどを工夫しましょう。鉄分は「血液の材料」です。毎日の食事を少し工夫することで、体調改善につながります。気になる方はぜひ当院までご相談ください。
おおば内科クリニック
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