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「ビールを一滴も飲まないのに、健康診断で“尿酸値が高い”って言われました。どうしてですか?」これは、高尿酸血症の患者さんからよく聞かれる質問の1つです。高尿酸血症といえば痛風の原因で「ビール好きの中年男性に多い」というイメージが根強くありますが、実際にはビールを全く飲まない方で尿酸値が高いことは珍しくありません。今回は、尿酸が高くなる原因について、解説します。
「尿酸」、「プリン体」、「痛風」って?
まず最初に「尿酸」「プリン体」「痛風」とは、何かを簡単におさらいしておきます。
尿酸とは?
体内でプリン体が分解されたときにできる老廃物の1つ
プリン体とは?
生命を維持するために必要となるエネルギー源や核酸を構成する物質
痛風(発作)とは?
尿酸が高い状態が続くと起こる急性関節炎
それぞれの関係性をまとめると
「プリン体」から「尿酸」が作られ、尿酸が高い状態が続くと、「痛風(発作)」が起こる、となります。
プリン体の多くは体内で作られている
痛風発作の根源と思われる「プリン体」は悪というイメージがあるかもしれません。しかし「プリン体=生命を維持するために必要となるエネルギー源や核酸を構成する物質」であることから分かるように、プリン体そのものは体にとって大切な物質です。また、意外と思われるかもしれませんが、実は、体の中のプリン体の多くは体内で作られているのです。もちろん、食事や飲み物からの摂取分もありますが、体内で作られる量の方が圧倒的に多く、なんとその割合は8割ほどを占めています。したがって、体内で作られている尿酸の多くは体内で作られるプリン体が原因ということになります。ここから分かることは、プリン体の多い食事やビールを控えていても、体質や代謝の影響で尿酸が高くなってしまうことは充分にあり得るのです。
尿酸値は、尿酸の産生量と排泄量のバランスで決まる
尿酸値は産生と排泄のバランスで決まります。尿酸が高くなるということは、このバランスが崩れていることを意味します。「尿酸の産生が多い」 or/and 「尿酸の排泄が少ない」と尿酸値は高くなります。尿酸のもととなるプリン体が多く含まれる食品を摂取していない(尿酸の産生が多くない)場合でも、尿酸が排泄できないと、尿酸値は高くなってしまうのです。尿酸値が高くなる具体的な原因は以下のようなものがあります。
原因①:遺伝的な体質や腎機能の低下
尿酸値が高くなるメカニズムのうち、尿酸の排泄が減ってしまう場合です。尿酸値は、ある意味“体質”による部分も大きいです。腎臓の働きがやや弱く、尿酸をうまく排泄できない体質の方が多くいらっしゃいます。実際、尿酸の約7割は腎臓から尿中に排泄されますが、その排泄能力には個人差があります。特に、高血圧や慢性腎臓病、糖尿病を持っている方は、腎機能の低下によって尿酸が体にたまりやすくなります。
原因②:過食や偏った食生活
尿酸値が高くなるメカニズムのうち、尿酸の産生が増えてしまう場合です。ビールはプリン体を多く含む食品として有名ですが、「ビールを飲まない代わりに甘いものをよく食べる」「炭水化物中心の食事が多い」……そんな食生活も、尿酸値を上げる要因になります。特にフルクトース(果糖)を多く含む清涼飲料水やスイーツのとりすぎは、体内での尿酸産生を促すことが知られています。また、肉類・内臓系の食品・魚卵・乾物などプリン体を多く含む食品の過剰摂取も注意が必要です。
原因③:肥満や運動不足
体重が増えると、それに比例して尿酸値も上がりやすくなります。特に内臓脂肪が多いとインスリン抵抗性(=インスリンが効きにくくなる状態)が生じ、これが尿酸の排泄を妨げてしまいます。また、運動不足も代謝を低下させ、尿酸の代謝・排泄に悪影響を与える要因となります。
原因④:ストレスや脱水
意外かもしれませんが、ストレスや脱水も尿酸値に影響する場合があります。水分をあまりとらない生活や、サウナや運動後の脱水なども、血液中の尿酸濃度を一時的に上げる原因になります。
自覚症状がなくても要注意な高尿酸血症
尿酸値が高くても、すぐに痛風発作が出るわけではありません。そのため、「別に痛くもないし大丈夫」と放置されがちです。しかし、尿酸が高い状態が長く続くと、関節だけでなく腎臓にまでダメージを与える可能性があります。実際、高尿酸血症は慢性腎臓病や心血管疾患とも関連が深いとされています。
高尿酸血症を放置しないために
健康診断で尿酸値が高めだった場合、まずは医療機関での再検査・相談をおすすめします。生活習慣のアドバイスに加え、必要であれば薬による治療を検討することもあります。特に以下のような方は、早めの受診が大切です。
- 尿酸値が7.0mg/dL以上
- 痛風発作や腎臓病の既往がある
- 健康診断で血圧や血糖値、コレステロールの異常を指摘された
尿酸が気になる方は、おおば内科クリニックにご相談ください
尿酸が高くなる原因は、「ビール飲み」だけではありません。生活習慣や体質などが複雑に関与しています。京都市下京区にある「おおば内科クリニック」では、「尿酸が高い」と言われた方の再検査・生活指導を行っております。お気軽にご相談下さい。
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