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高血圧、脂質異常症、糖尿病など、いわゆる「生活習慣病」の管理の基本は適切な食事と運動であることは、皆さんよくご存じのことと思います。しかし、特に運動に関しては、多くの方が「運動しなきゃとは思っているけど、なかなか時間が取れない、やり方が分からない」という悩みをお持ちでいらっしゃいます。運動は、有酸素運動と筋力トレーニングの両方行うことが望ましいとされますが、実は、ジムに通ったり特別な器具がなくても、自宅で十分に取り組むことができるのです。しかも、継続することで生活習慣病の予防や改善に大きな効果が期待できます。運動の中でも今回は、内科医の視点から、生活習慣病の予防・改善に役立つ「自宅でできる筋トレ」についてご紹介します。
そもそも、なぜ筋トレが生活習慣病に効果的なの?
まず知っておきたいのが、筋トレと生活習慣病との関係です。
筋肉は、単に体を動かすだけでなく、血糖のコントロールにも大きく関わっています。筋肉が増えると、血糖をエネルギーとして使いやすくなり、インスリンの効きもよくなります。これは糖尿病の予防・改善にとても重要です。また、筋肉が多いほど基礎代謝(何もしなくても消費されるエネルギー)も高くなります。つまり、太りにくくなるということ。これは肥満の改善、ひいては高血圧や脂質異常症のコントロールにもつながります。さらに、筋トレは心肺機能を高めたり、血流を改善したりする効果、転倒を予防する効果もあります。
ポイントは「無理なく続けられること」
筋トレというと、ダンベルを持ち上げたり、ジムで重たいマシンを使ったり…というイメージがあるかもしれません。でも、生活習慣病対策として重要なのは、日常生活のなかに取り入れやすく、継続できる運動です。おすすめは、以下のような「自宅で簡単にできる筋トレ」。年齢や体力に応じて強度を調整できるため、無理なく始められます。
自宅でできる3つの簡単筋トレ
① スクワット(下半身全体を鍛える)
やり方:10回を1セット、1日2〜3セットを目安に。
- 足を肩幅に開いて立ちます。
- ゆっくりと腰を落とし、椅子に座るようにお尻を引きます。
- 太ももが床と平行になるくらいで止め、ゆっくり戻ります。
ポイント:膝がつま先より前に出ないように注意しましょう。はじめは浅めでもOKです。慣れてきたら深くしていきましょう。
② かかと上げ(ふくらはぎを鍛える)
やり方:15回を1セット、1日2セットを目安に
- 壁や椅子の背を支えにして立ちます。
- かかとをゆっくり上げ、つま先立ちになります。
- 2〜3秒キープして、ゆっくりかかとを下ろします。
ポイント:ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、血流を促す役割があります。冷えやむくみの解消にも効果的です。
③ 壁プッシュ(腕と胸を鍛える)
やり方:10回を1セット、1日2セットを目安に。
- 壁から1歩離れ、両手を壁につけて立ちます。
- 肘を曲げて体を壁に近づけ、腕立て伏せのようにします。
- ゆっくり元に戻します。
ポイント:通常の腕立て伏せがきつい方でも、壁を使えば無理なく行えます。肩こりの予防にも効果的です。
続けるためのコツは
- 毎日でなくてもOK:「週に3日」を目安に、体調の良い日に行いましょう。
- 時間帯は自由:朝の目覚めに、仕事の合間に、夕食後に…自分の生活リズムに合う時間を選びましょう。
- 習慣化の工夫:テレビを見ながら、歯磨きの後に、など「いつもの行動」とセットにすると続けやすくなります。
おわりに
運動は、薬ではありません。しかし、正しく続けることで、薬と同じ、あるいはそれ以上の効果を発揮することもあります。生活習慣病は文字通り「生活の習慣」からくるものです。毎日の選択の積み重ねが、健康にも病気にもつながっていくのです。筋トレは、そのなかでも最も効果的で手軽な「投資」です。今日から少しずつでも、始めてみませんか?わからないことがあれば、いつでもご相談ください。
おおば内科クリニック
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