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以前、鉄欠乏性貧血について解説しました。
その時の記事はこちら→鉄不足が原因:鉄欠乏性貧血
今回は鉄欠乏性貧血をQ&A形式で解説していきます。
Q: 鉄欠乏性貧血とは何ですか?
A: 鉄欠乏性貧血は体内の鉄分不足が原因で起こる貧血の一種です。鉄分は赤血球の中のヘモグロビンを作るために必要な要素であり不足するとヘモグロビンの合成が出来ません。
Q: 鉄欠乏性貧血の主な原因は何ですか?
A: 鉄分の摂取不足、月経や胃潰瘍などの慢性的な出血、鉄需要の増加(例: 妊娠、成長期の子供)、吸収障害などで鉄分が不足することが原因です。
Q: 鉄欠乏性貧血の主な症状は何ですか?
A: 赤血球の役割は肺で取り入れた酸素を全身に運搬することです。したがって貧血になると酸素の運搬能力が低下し酸素不足になりやすくなります。また、これを補うために心臓がいつも以上に頑張ってしまうため様々な症状が出ます。具体的には、疲労感、動悸や息切れ、皮膚や粘膜の蒼白、異食症(例: 氷食症)、集中力の低下などがあります。
Q: 鉄欠乏性貧血の診断方法は何ですか?
A: 鉄欠乏性貧血の診断には、血液検査が必要です。ヘモグロビン濃度、総鉄結合能(TIBC)、血清フェリチン値などが測定されます。典型的な鉄欠乏性貧血なら、ヘモグロビン濃度は低下、TIBCは増加、フェリチンは低下します。
Q: 鉄欠乏性貧血の治療法はどのようなものがありますか?
A: 鉄分の補給です。飲み薬と点滴があります。鉄分の補給を目的とした栄養療法も重要です。原則、飲み薬を勧めます。
Q: 鉄のお薬を飲むと気持ち悪くなるのはどうして?
A:個人差がありますが 鉄分の飲み薬でむかつきなどのお腹の症状が出る方がいます。お薬から遊離した鉄イオンが消化管粘膜を刺激するためと言われています。
Q:鉄剤で気持ち悪くなった時の対処法は?
A:数日飲み続けることで慣れてくる場合も多くありますが、お薬を食事と一緒に摂取する、寝る前に服用する、1日おきに服用する、などの対策が有効です。最近は消化器症状の出にくいお薬も使用できますので医師に相談しましょう。
Q:鉄欠乏性貧血の治療期間は?
A:鉄剤を開始後、貧血が改善しフェリチンも十分に増えたら治療を終了します。個人差もありますが概ね数ヶ月から半年程度は鉄剤の服用が必要です。また、治療終了後、数ヶ月して再燃する方も中にはおられますので、定期的な検査が望ましいです。
Q: 鉄欠乏性貧血と診断されたら、胃カメラ検査、便潜血検査、婦人科受診を勧められましたが、どうしてですか?
A:鉄分が不足する原因の多くは何らかの慢性的な出血です。時には命に関わる病気が隠れている場合もあります。慢性的に出血している部分がないか、例えば胃がんや潰瘍、大腸がんや子宮筋腫などがないか調べるために胃カメラや便潜血検査、婦人科診察をお勧めしています。また、胃カメラや大腸カメラでも異常がないが消化管からの出血を疑う場合にはカプセル内視鏡や小腸に内視鏡検査を行う場合もあります。鉄欠乏の原因を明らかにすることは、治療と同じぐらい重要なことです。
Q: 鉄欠乏性貧血になりやすい人の特徴は?
A: 鉄欠乏性貧血になりやすい特徴を持つ人々には以下が挙げられます。
妊娠中や授乳期間中の女性: 赤ちゃんの成長により鉄の需要が増加するため。
月経のある女性: 月経による血液の損失が鉄分不足を引き起こすため。
消化器系の疾患を持つ人: 胃潰瘍や消化器がんなどによる慢性的な出血が原因となる場合があるため
食事に偏りがある人: 鉄分を含む食品を十分に摂取していないため
Q: 鉄欠乏性貧血の予防方法は?
A: バランスの取れた食事や必要に応じて鉄分を含むサプリメントの摂取が推奨されます。特に妊娠中や成長期の子供には意識して鉄分を摂取することが重要です。