
2月も中旬に入りました。京都府内のスギ花粉飛散はまだ少ない状況ですが、花粉症の症状でお悩みの方の受診が少しずつ増えてきています。日本気象会の予測では、京都府の2025年の花粉飛散量は平年・前年比ともに非常に多く、2月下旬よりスギ花粉の飛散が始まるようです。花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が原因で起こるアレルギーの一種で、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が出現、中には日常生活に支障をきたすほど症状が強い方もいらっしゃいます。花粉症は、症状が強くなる前の早めの対策が大切です。本記事では、日常生活における花粉症対策や治療について、解説していますので、参考にしてください。
日常生活に取り入れたい花粉症対策
花粉症は、スギやヒノキなどの花粉(アレルゲン)に対する体のアレルギー反応なので、花粉を出来るだけ避けることが重要です。ちょっとした心がけでも変わってきますので、可能な範囲で生活に取り入れてみましょう。
・花粉の飛散情報を確認し、飛散の多いときは外出を控える、窓を閉める
・外出する場合は、マスクやメガネを着用し、帰宅したら、洗顔・うがいをし、鼻をかむ
・洗濯物や布団の外干しを避ける
・空気清浄機を活用する
花粉症に対する治療法
鼻水などの花粉症症状に対してはお薬で症状を緩和させます。飲み薬、点鼻薬、点眼薬(目の症状がある人)の3本柱です。
飲み薬(抗ヒスタミン薬、ロイトコリエン受容体拮抗薬)
抗ヒスタミン薬が中心です。抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応の主体となるヒスタミンという物質をブロックし症状を緩和します。フェキソフェナジン(アレグラ)やエピナスチン(アレジオン)など一部の薬は、Amazonやドラッグストアなどで購入することができます。フェキソフェナジンやエピナスチンで症状のコントロールが可能な方、忙しく病院受診する時間が取れない方には良い選択肢だと思います。抗ヒスタミン薬は、症状の緩和に効果的ですが、難点は眠気という副作用です。お薬の花粉症の症状を抑える強さと眠気の強さはある程度相関します。効果が強い薬は眠気も強い傾向です。特に車の運転をされる方などは、注意が必要です。主観ですが、フェキソフェナジンやビラスチンは比較的眠気が少ないが効果もそこそこ、オロパタジンは効果が強めですが眠気もそれなり、の印象です。もちろん、個人差も大きく一概には言えません。いくつか薬を試してみて、一番合う薬を選択すると良いでしょう。鼻づまり(鼻閉)が強いタイプは、ロイコトリエン受容体拮抗薬であるプランルカストやモンテルカストを使うこともあります。喘息でも使用されることのある薬剤です。抗ヒスタミン薬のような眠気の副作用はありませんが、効果が出るまでに少し時間が(数日~週単位)がかかります。
ステロイド点鼻薬
炎症を抑えるステロイドの点鼻薬です。ステロイドと聞くと拒否反応を示される方がいらっしゃいますが、ステロイドの点鼻薬は鼻局所へ作用するため全身への影響は少なく基本的に安全に使用できます。いくつか種類がありますが、効果に差はなく、液体タイプか粉末タイプか、使用感の好みで選択して良いでしょう。鼻がつまっているときや鼻汁がたまっているときは効果が出にくいので、鼻をかんでから使用しましょう。
点眼薬
目のかゆみを和らげる薬です。1日複数回点眼します。花粉が本格的に飛散する2週間前から点眼を開始すると、眼の症状が出てくる時期を遅らせたり、花粉が本格的に飛散したときの自覚症状を軽くすることが期待できます。当院ではエピナスチン点眼やオロパタジン点眼を使用することが多いです。点眼薬は、眼のかゆみを感じた時だけ点眼するのではなく、花粉飛散時期は決められた回数点眼するようにしましょう。
免疫療法(舌下免疫療法)
これまでの治療法は症状緩和を目的とした治療ですが、舌下免疫療法は花粉症の根本的治療を目指す方法です。スギ花粉エキスを含む薬を、毎日、服用し、少しずつ花粉を体に慣らし、症状を軽減させることが期待できます。ただし、治療に数年かかる、定期的な通院が必要、花粉の飛散期には治療開始出来ない、重度のアレルギー反応(頻度は高くない)のリスクがある、治療を受けられるクリニックが限られている、などのデメリットがあります。当院では舌下免疫療法も行うことができます。
漢方療法
漢方薬は体質改善を目的としており、花粉症の症状緩和にも活用されます。抗ヒスタミン薬のような眠気の副作用を心配しなくても良いです。小青竜湯などいくつかの種類があります。抗ヒスタミン薬がなかなか合わない人や眠気を気にされる方は、漢方薬での治療を試みる場合もあります。
おわりに
今回は、花粉症の対策や治療について解説しました。皆様の日々の健康管理にお役立ていただけますと幸いです。花粉症でお困りのことがありましたら、当院までお気軽にご相談ください。