帯状疱疹ワクチンが定期接種になります。|おおば内科クリニック|京都市下京区の内科・血液内科

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帯状疱疹ワクチンが定期接種になります。

帯状疱疹ワクチンが定期接種になります。|おおば内科クリニック|京都市下京区の内科・血液内科

先日、厚生労働省が、来年度(2025年度)から、65歳になった高齢者などを対象に帯状疱疹(たいじょうほうしん)ワクチンの「定期接種」を始める方針を決めました。「定期接種」が始まるとどうなるかというと、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンと同様、ある年齢の方が帯状疱疹ワクチンを受ける場合、少し安く(といっても高額ですが)受けることができます。今回は、「帯状疱疹」をテーマとしたお話になります(2025/3/3に加筆・修正)

帯状疱疹とは

帯状疱疹とは、子どものときに感染した水ぼうそうのウイルスが原因で起こる皮膚の病気です。実は、水ぼうそうが治ったあとも、このウイルス自体は体の中の神経にひっそりと隠れています。普段は、免疫でウイルスが暴れないように抑えこめていますが、加齢、過労、ストレスなどで免疫力が低下すると再び暴れだし帯状疱疹を発症します。帯状疱疹は、通常、体の左右どちらかの神経に沿ってピリピリと刺すような痛みから始まり、続いて赤い斑点や水ぶくれが帯状に生じるのが特徴です。

帯状疱疹と合併症

私が、血液内科の専門外来をしていたころ、血液疾患で闘病中に帯状疱疹となり後遺症に悩む患者さんが複数おられました。血液疾患、特に、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫といった血液癌においては、病気そのものに加え抗がん剤治療により免疫力が低下してしまい、帯状疱疹を発症しやすいです。帯状疱疹自体は、抗ウイルス薬で比較的速やかに治りますが、中には後遺症で生活の質が低下してしまう方がいらっしゃいます。後遺症の多くは、帯状疱疹が治ったあとも痛みが続く帯状疱疹後神経痛(PHN)で、程度は患者さんによっても様々ですが、皮膚に服がすれただけで体に激痛が走るほど痛みが強い方もおられます。PHN以外にも、帯状疱疹発症初期に鼻の周囲に皮膚症状がみられた場合、目に、角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎などの合併症がみられることがあり、場合によっては視力低下や失明することもあります。また、顔面神経麻痺と耳の帯状疱疹を特徴とする「ラムゼイ・ハント症候群」と呼ばれる合併症では、めまいや耳鳴り、難聴などを生じることもあります。帯状疱疹を発症される方は、血液疾患で治療中の方だけではありません。帯状疱疹は「80歳までに3人に1人が発症する」、こうした研究データもあり、意外に身近に潜んでいる病気なのです。

帯状疱疹ワクチンの種類、特徴、費用

長期間、痛みなどの後遺症が残るかもしれない帯状疱疹、予防が重要なのは言うまでもありません。予防に重要なのがワクチン接種です。帯状疱疹ワクチン自体は以前から50歳以上の方を対象に任意接種として接種可能でした。帯状疱疹に使用されるワクチンは「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があり、それぞれ接種方法、回数、効果とその持続時間、副反応などが異なりますが、いずれも帯状疱疹や合併症の予防効果が認められています。厚生労働省の資料よりそれぞれの特徴は以下の通りです。

帯状疱疹ワクチンの特徴

生ワクチン(阪大微研)

不活化ワクチン(GSK社)

接種方法 皮下注射 筋肉注射
接種回数 1回 2カ月以上あけて2回
接種条件 免疫の低下している人は接種不可 免疫の状態にかかわらず接種可

帯状疱疹ワクチンの効果

生ワクチン(阪大微研) 不活化ワクチン(GSK社)
接種後1年時点 6割程度 9割以上
接種後5年時点 4割程度 9割程度
接種後10年時点 7割程度

帯状疱疹ワクチンの副反応

生ワクチン(阪大微研) 不活化ワクチン(GSK社)
70%以上 接種部位の疼痛
30%以上 接種部位の発赤 接種部位の発赤、筋肉痛、疲労
10%以上

接種部位の掻痒感、熱感、腫脹、疼痛、硬結

接種部位の腫脹、悪寒、発熱、胃腸症状

1%以上

発疹、倦怠感

接種部位の掻痒感、倦怠感

 

「生ワクチン」の特徴は、1回皮下注射でOK、費用が「不活化ワクチン」と比較して割安だが、「不活化ワクチン」と比較して効果が弱い、病気や治療により免疫が低下している人は打つことが出来ない、となります。一方、「不活化ワクチン」の特徴は、その逆で、2回筋肉注射が必要、費用が「生ワクチン」と比較して高額だが、効果が高く持続時間も長い、免疫の状態に関係なく接種することが出来る、となります。「生ワクチン」は「不活化ワクチン」と比較すると、効果や持続時間が物足りないようにうつりますが、決して効果がないわけではなく、費用面や1回接種で済む点などの優位性もあります。どちらを接種すべきかは、重視する点(効果なのか費用なのか、など)や個人の状況により異なりますので、医師と相談されるのが良いと思います。

帯状疱疹ワクチンの接種費用(定期接種の場合、予定)

生ワクチン(阪大微研) 不活化ワクチン(GSK社)
定期接種(京都市、予定) 4000円 18000円×2回

任意接種で接種する場合ですが、当院では、生ワクチン7200円、不活化ワクチン22000円×2回となります。

帯状疱疹ワクチンの定期接種対象者

(1) 接種年度に65歳になる方

(2) 満60~64歳でヒト免疫機能に一定の障害がある方

(3) 接種年度に70、75、80、85、90、95、100歳になる方(令和7年度に限り、101歳以上の方を含む。)

※上記(3)は66歳以上の方に接種機会を設けるため、5年間実施する経過措置(定期接種の対象となる期間は各年代1年間のみ)

帯状疱疹ワクチンでお悩みの方は、おおば内科クリニックまでご相談ください

冒頭にもあるように、厚生労働省は、2025年度から65歳の高齢者を対象に帯状疱疹ワクチンを定期接種することに決めました。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンのように、接種費用が補助されます。すでに65歳を超えている人については、来年度からの5年間に接種できる機会を設ける経過措置が導入されます。具体的に自己負担額がいくらになるかは、自治体によって異なります。帯状疱疹そのものは命にかかわることは少ない病気ですが、発症すると合併症などにより生活の質が長期にわたり低下するリスクがあります。当院でも帯状疱疹ワクチンの取り扱い(定期接種も実施予定)しておりますので、お気軽にご相談ください。

京都市のHPもご参照ください。

厚生労働省からのアナウンスもご参照ください