再生不良性貧血/Q&A|おおば内科クリニック|京都市下京区の内科・血液内科

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再生不良性貧血/Q&A

再生不良性貧血/Q&A|おおば内科クリニック|京都市下京区の内科・血液内科

再生不良性貧血は国から難病指定されている血液の病気です。成因により先天性と後天性に分けられますが、多くは後天性特発性の再生不良性貧血です。本記事では主に後天性特発性再生不良性貧血に関し医療従事者以外の方向けにQ&A形式で簡単に解説します。

Q 再生不良性貧血はどのような貧血ですか?

血液の中には、赤血球、白血球、血小板という大きく3つの細胞があります。再生不良性貧血は、この3つの細胞すべてが減少し汎血球減少という状態を呈します。また、骨髄という血液の工場においても血液細胞が少なくなり、骨髄がスカスカの状態(低形成骨髄)になっていることも特徴です。

Q 再生不良性貧血の患者さんはどれぐらいいますか?

日本人における罹患率は、人口100万人あたり約8人です。貧血の中では稀なタイプです。

Q 再生不良性貧血の分類は?

まず、先天性と後天性に分類されます。先天性の再生不良性貧血で最も頻度が高いのはFanconi貧血です。また、後天性の再生不良性貧血には、原因がはっきりしない特発性(一次性)と、様々薬剤や放射線の被爆などによる二次性があります。日本では、特発性が大部分を占めています。

Q 再生不良性貧血の原因は?

一般的な後天性特発性再生不良性貧血では、骨髄の中にある造血幹細胞(すべての血液細胞になることが出来る元の細胞)が減少してしまうことが原因です。造血幹細胞が減ってしまう原因としては、造血幹細胞自身の問題、免疫学的により障害される機序が考えられています。

Q 再生不良性貧血はどうやって診断するのですか?

再生不良性貧血は血液検査で汎血球減少を認めることが特徴ですが、汎血球減少となる病気は再生不良性貧血だけではありません。再生不良性貧血の診断は、汎血球減少を呈する他の病気ではない、ということを証明していく除外診断が基本で、血液検査、骨髄検査、MRI検査などを行います。

Q 再生不良性貧血の症状は?

血液の中の3つの細胞が減少することに伴う症状が出現します。赤血球は酸素を運搬する役割があるため、減少すると動悸やめまいなどの貧血症状が出現します。白血球は感染症などから身を守ってくれる兵隊の役割があり、減少すると防御が手薄になることで感染症にかかりやすかったり重症化しやすくなります。血小板は止血作用があるため、減少すると、血が出やすく止まりにくくなり、ぶつけてないのに皮膚にアザがある、歯ぐきから出血する、鼻血がでるなどの出血症状が見られます。

Q 再生不良性貧血の重症度分類を教えてください

軽症であるstage1から最重症のstage5までの5段階で重症度を判断します。判断基準は、若い赤血球に該当する網状赤血球数、白血球の中の好中球数、血小板数、輸血が必要かどうか、輸血の頻度などです

Q 再生不良性貧血はどのような治療をしますか?

支持療法と造血回復を目指した治療を行います。支持療法は赤血球輸血や血小板輸血、白血球を増加させる造血因子の注射などを行いますが、こうした治療で感染症や出血などの予防・管理を行います。造血の回復を目指した治療では、免疫抑制療法や造血幹細胞移植を行います。支持療法で全身状態を安定させ、造血回復を目指した治療で血液細胞を増やしていきます。治療方針は、病気の重症度、年齢、造血幹細胞ドナーの有無などを考慮し総合的に決定します。

Q 再生不良性貧血の医療費が心配です

再生不良性貧血の治療では長期の入院が必要になったり高額な薬剤を使用する場合もあります。再生不良性貧血は厚生労働省の定める指定難病であり、所定の申請を行った後、医療費の補助を受けられる場合があります。

Q 再生不良性貧血の経過の見通し(予後)は?

軽症の場合、汎血球減少が自然に回復したり全く進行しない例もあります。最近は抗生物質や輸血などの支持療法の進歩、免疫抑制療法や造血幹細胞移植が早期から実施されるようになったため、約7割の例で輸血が必要ない程度に改善し、9割近くに長期生存が期待できるまでになっています。一方で、重篤な感染症や大出血などで致死的経過をたどる場合もみられます。

Q もっと再生不良性貧血について知りたいのですが?

本記事は以下を参照していますので、興味のある方はご覧になってください。

・再生不良性貧血 診療の参照ガイド(R4年度改定版)

http://zoketsushogaihan.umin.jp/file/2022/AA_final20230801.pdf

・難病情報センター「再生不良性貧血」

https://www.nanbyou.or.jp/entry/106