
目次
高血圧は、知らないうちに脳卒中や心臓病といった危険な病気のリスクを高めてしまう病気で、「サイレントキラー病」とも呼ばれています。高血圧の多くは、自覚症状はありませんが、ひとたび、脳卒中や心臓病を発症すると、最悪の場合、命を失ったり、命は助かったとしても麻痺などの後遺症で生活の質が大きく低下する場合があります。したがって、自覚症状はなくても、脳卒中や心臓病の発症を予防するため、血圧を適正な範囲にコントロールする必要があるのです。治療法は、食事療法、運動療法、薬物療法に分けられますが、中でも、食事療法においては、「減塩」が最も重要とされており、1日の塩分摂取量を6g未満にするよう推奨されています。塩分を魔法のように減らせる方法はありませんし、すでにご存じの方も多いかもしれませんが、本記事では、血圧が高いと言われた方向けに、1日の塩分摂取量を6g未満にするためのコツを解説します。
日本人は1日平均10g前後の塩分を摂取している
皆さんは、普段の食事で1日どれぐらいの塩分を摂取しているでしょうか?日本人は世界的にも塩分摂取量が多いと言われています。理由の1つに、お味噌やお醤油などの伝統的な調味料、保存の効く漬物や干物などの加工食品などの摂取が多いことがあげられます。個人差もありますが、日本人の1日の平均塩分摂取量はおよそ10g前後です。一方で、高血圧の方に推奨される塩分摂取量は1日6g未満、その差は4g。結構、意識して塩分を減らす必要があるというのはお分かりいただけるかと思います。
塩分摂取量を6g未満にする6つのコツ
コツ①:調味料をかけすぎない
塩分の多くは、実は調理中よりも「食べるとき」にかける調味料から来ています。しょうゆやソースを直接かけるより、「小皿に出して、つけて食べる」だけでも塩分摂取量は大幅に減らせます。また、ドレッシングのかけすぎにも注意が必要です。ノンオイルでも塩分が高い商品も多いため、量を減らすか、酢やレモンなどで代用しましょう。
コツ②:「だし」の力を活用
味に深みを出すために、塩分に頼らなくても済む工夫が大切です。そのひとつが「だし」の活用。昆布やかつお節、干ししいたけなどの天然だしを使えば、うま味が加わって塩分控えめでも満足感のある味になります。インスタントだしを使う際も、減塩タイプを選ぶと安心です。
コツ③:「塩分の宝庫」である加工食品を減らす
ハム、ベーコン、漬物、練り物(かまぼこ・ちくわ)などの加工食品には、保存性を高める目的で多くの塩分が含まれています。これらを頻繁に食べていると、知らないうちに塩分オーバーになってしまいます。できるだけ素材そのものを活かした食事を心がけ、加工食品は「たまに楽しむもの」と考えましょう。
コツ④:ラベルを読む習慣をつける
市販の食品を選ぶときは、裏面の「栄養成分表示」をチェックしましょう。「ナトリウム」や「食塩相当量」の表示に注目し、なるべく塩分の少ない商品を選ぶことが大切です。例えば、同じ味噌やしょうゆでも減塩タイプが販売されています。お気に入りの減塩調味料を見つけておくと、毎日の食事でのストレスも減らせるでしょう。
コツ⑤:外食や中食は「汁物を残す」「単品メニューを避ける」
外食やコンビニの食事は、味が濃く塩分も多くなりがちです。ラーメンやうどんなどの汁物は、スープをすべて飲み干すと、それだけで5g近くの塩分を摂ってしまうこともあります。汁は半分以上残すように意識するだけでも、大きな減塩につながります。また、弁当などの「セットメニュー」は塩分の多いおかずが複数入っていることが多いので、単品+サラダにするなど、工夫をしてみましょう。
コツ⑥:「減塩=味気ない」は思い込み!
減塩と聞くと「薄味でおいしくない」と思われがちですが、実際には調味料の工夫や香辛料、香味野菜(しょうが・にんにく・しそ・みょうがなど)を活用することで、むしろ素材本来の味を楽しむ食事に近づくことができます。塩の代わりにスパイスや酢、レモン汁などをうまく使うことで、満足度を下げずに減塩することが可能です。
減塩は無理なく継続がカギ
減塩は「急に完璧を目指す」よりも、「少しずつ続ける」ことが大切です。無理して1日の塩分摂取量6g未満を達成できたとしても、継続できなければ十分な効果は得られません。まずは1日の塩分摂取量を「今より1〜2g減らす」ことから始めてみましょう。食習慣はすぐには変えられませんが、意識して続けることが大切です。高血圧の予防・改善のためにも、ぜひ今日から「塩分6g」を目標に、できることから取り組んでみてください。